ヨーガとは…?

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ヨーガとは…

ヨーガの歴史は4~5千年にもなり、元々は修行として行われていました。

ヨーガを実践する全ての者の必読のパタンジャリ大師の書「ヨーガ・スートラ」には、ヨーガについて次のように書かれています。
「ヨーガとは心素(チッタ)の働きを止滅することである」(ヨーガ・スートラ第一章第2節)

心素(チッタ:サンスクリット語)これは、内的心理器官とよばれる4つのうちの一つで、

記憶を司る心の臓器です。

要するに意識作用と言うこと。つまりヨーガは意識作用を止めるといっても良いでしょう。
この意識作用というのは、例えば「私は〇〇である」とか「〇〇大学を卒業した人間である」「〇〇会社の社長である」という社会的な相対的関係のなかで自分を規定する思いです。こうした相対的な対立する感情の克服をまずしなければなりません。
ヨーガ・スートラの第1章第12節にはこの対立する感情を克服するやり方として次のように規定しています。

「心素の働きの止滅は、勤修(アビヤーサ)と離欲(ヴァイラーギア)によって成し遂げられる」とあり、

つまり繰り返し、繰り返しあきらめることなく、自分を無くして行くように努力することなのです。

最も古いヨーガの本は、今から3千年近い昔から次々と書かれました。

それらの本は時代を経るごとに何冊も書かれたのですが、いずれも作者は不明です。しかしそれら同じ頃に書かれたヨーガの本はまとめて『ウパニシャッド聖典』と呼ばれています。

その中に書かれてあることは、何時の時代でもまた何時の社会においても、それらの教えが役に立つほど貴重なものだったというが、今にまで伝承されてきたことが証拠と言えましょう。

 

心理学の元祖カタ・ウパニシャッド

精神分析で有名なオーストリア人の精神科医S.フロイトは今から100年ほど前の人です。このフロイトが人の無意識について明らかにしたといわれていますが、ウパニシャッド聖典の中にもこうした人間心理に詳しくメスを入れて分析しているカタ・ウパニシャッドという名前の聖典があります。最後にその内容の一部を紹介しましょう。

このウパニシャッドに付けられた「カタ」という名前の意味は分かりませんが、こういう名前のグループの人々がいたのだろうということで、「カタ派の奥義書」と訳されています。このグループのヨーガ行者さんたちは心理分析に長けていたようで、人間の身体を十頭立ての馬車に見立てて次のように書いています。

「真の自分とは、馬車の中に座っている主人である。人間の身体とは車両である。馬車の御者とは理智(外からの情報を判断する心理器官)である。車両と馬たちとをつなぐ手綱が意思(外からの情報を理智に伝える心理器官)である。(眼や耳や皮膚や手足や生殖器など10種類の)感覚器官が馬たちである。これら感 覚器官が追い求めるのが,馬が走る道というものである」

(カタ・ウパニシャッド第3章34節)

このように、人間の肉体とその中で働いている心理的な器官を分類して数え上げているのです。

今から3000年近い前にこんな事を考えていた人たちがいたなんておもしろいでしょう?このように心理分析をした後で、このカタ派のヨーガ行者さんたちは、次のように人生を生きれば「上手に生きられるよ」と教えています。

「もしも、その人間の(感覚器官である馬たちにつながる)手綱である意思が落ち着いた働きをせずに、御者である理智が正しい判断力によってこの手綱をコントロールしていないと、その人間の感覚器官である馬(眼、耳、舌、手足、生殖器など)たちは暴れ馬のように暴走しはじめる」

(カタ・ウパニシャッド第3章5節)

とこのように教えています。ですから、いつも心を落ち着けて良い判断ができるような心を持ち続ける努力が大切なのですよ、と教えているのです。人生で大切なのは、良い収入を得るための多くの技能を身につけることだけでなくて、もっと大切なのは何時も心を静かに落ち着かせ、きれいにさせ、暴走させないようにさせていることなのだよ、という教えです。

こういう心を持っていれば、心身症や神経症にかかることもないでしょうし、周りの人たちとも良い人間関係を築けるでしょう。

 

世界保健機関(WHO)が言う健康とは?

国連の健康の問題を処理しているWHO(国際健康機関)が「健康とは、肉体に病気がないという状態だけでなく、心の面でも社会における人間関係の面でも健やかであるばかりでなく、スピリッチュアルにも健やかな状態を言う」と定義しています。この「スピリッチュアル」という英語の意味をこれまでに「宗教的に」と訳してきています。この言葉を「精神的に」と訳すと、WHOは既に「メンタル」という言葉を使って「こころの面で」の健康という意味を伝えようとしているのですから、スピリッチュアルという言葉が「精神的に」という意味にはならないのは明らかです。そして残念ながら西洋医学の治療手段の中には、人間をこの「宗教的(スピリッチュアル)に健やかにさせる」治療技術はないのです。しかし、ヨーガは昔からその技法を良く整備してきていますので、これらWHOが望む色々な次元の健やかさを実現できる種々の技法を昔から用意してきているのです。例えばこの、スピリッチュアルな健やかさを増進させ得るヨーガの技法には、人間の宗教的感性を豊かにさせてくれるヨーガの行法である「バク ティ・ヨーガ」と呼ばれる分野のヨーガがあります。ヨーガのこうした宗教的感性を養い育てる分野が昔からあったと言うことは、ヨーガ行者さんたちは、人間が生きる上でどの様な能力を健やかに生かしつつ人生を送ればよいのか、良く理解していたのでしょう。そうだとすれば、昔からヨーガというものに関係してきた人間たちは、実に良く人の健康ということを考えてきていたと言えるわけです。しかし、こうしたヨーガによる健康の増進ということが、ヨーガ行者さんたちだけでなく、誰にでも分かる客観的な形で広く調査研究が行われるようになったのは、案外に最近の事です。

 

(日本ヨーガ・ニケタン 引用)